【 労務 ・人材・求人トラブル 】入社して、教育して、すぐ退社・・・・法的にどうなの?
よく聞く、 労務 ・人材・求人トラブル -入社して、教育して、すぐ退社-
エステサロンなどで、求人を出して、やっとの思いで、1人採用!
技術や講習なども受けさせて、
「よしやっとお客様の施術に入れられる!」と思ったら、
「辞めます・・・・」
よく聞く話です。
オーナーからしてみたら、時間と労力と費用を払って、すぐ辞められたら、損害もでかい!
これって、法的になんとかならないのか??と思う方も結構多く、ご相談ももらいます。
結論は・・・・・
厳しい!!!
法律はあるけど、なかなか適応されないのが現実です。
どんな法律があるの??
まずあるのが、労働基準法で、
「有機労働契約は、原則、雇用されて1年以内はやめられない」という趣旨の内容があります。
期間を決めて採用されたパートさんでも、最低1年は働いてね!
って感じです。
ただし、例外として、
「やむを得ない場合を除く」という一文もあります。
ここでいうやむを得ない場合というのは、
・出産や怪我
・転勤
・労働契約書と実際の勤務内容が違う
などが挙げられます。
かなり限定的に範囲は狭いです!
じゃあ、やむを得ない場合に該当しなければ、1年間は働かせられるのでは?と思いますよね。
でも、実際厳しい!
労働基準法 強制労働の禁止
労働基準法には、強制労働の禁止も存在します。
本人に労働の意思がないのに、働かせるのはダメ!という趣旨で、これは労働基準法でも違反した際の罰則が一番重いです。
まぁ、脅迫や監禁などで、奴隷のように強制労働させるのを禁止する目的の条文なので。
この条文があるように、労働者には、「職業選択の自由」、「退職の自由」などが強く保護されています。
想像すれば、辞めたいと言っている人を、無理やり働かせるのは、ちょっと現実的ではないですよね・・・・
結局は、労働者保護の法律がたくさんあるってことですね。
先ほどの、「1年は辞められない」という法律もどちらかと言えば、
「すぐ辞めちゃう人を抑制させるためのもの」ではなく、「期間を決められて働いている人を、1年未満ですぐ辞めさせないようにするためのもの」なので、結局は、労働者保護のためも内容なんです。
そこで、法律の矛盾が生じているってことです。
ここで、次に考えたいのは、
「じゃあ、オーナーは泣き寝入りするしかないの?」ということです。
サロンに大きな損害が生じた場合は??
例えば、教育費用、講習費用などの捻出、そのスタッフのための予約など、実際、被害が生じる場合もあります。
その場合に関してですが、
結論、ケースバイケースだけど、まぁまぁ厳しい!
ルール上で言えば、損害が発生したなら、当然、損害賠償請求は可能です。
それが、どこまで認められるか?というのが焦点になります。
大前提として、「研修費用の捻出は、企業の活動として、当然会社が負担すべき」という考えがあります・・・(残念ながら)
そのスタッフが仕事で必要なスキルは会社が提供するもの、という考えが大前提であるので、なかなか損害賠償を請求するのは厳しいです。
ただし、ここで考えられる例外として2点あります。
①悪質な場合
悪質な場合は、全額じゃないにしても一部の損害賠償請求が認められる場合があります。
例えば、明らかに退職するのがわかっている場合。
例えば、入社日より以前に、SNSなどで、
「半年後、新店舗オープン!◯◯のメニューあります」
のような、半年後に辞める前提で、入社し、そのサロンで受講したメニュー◯◯を使って営業しようとしているのが証明できれば、可能性はあります。
まぁ、そんなバカいないでしょうけど・・・今、メーカーもディプロマを個人名ではなく、サロン名で出すことが多くなっているので、なかなかこのようなケースは少ないかと思います。
あとは、求人紹介の会社からお祝い金目当てなのが証明された場合です。
これは以前、ちょこちょこありましたが、2025年4月から、お祝い金制度の規制が入ったので、多分、今後は起きないかなと思います。
② 別途契約書に記載がある場合
企業では、就業規則や労働契約書を作成する場合があります。(企業規模などによる)
就業規則は、会社全体のルール、
労働契約書は、個人と会社での個別契約、
そんなイメージです。
例えば、その労働契約書に、
・研修費用の返還義務
例えば、「6か月以内に退職した場合、研修費用の50%を返還する」このような規約を入れておくことで、実際生じた場合に、損害賠償請求が認められるケースがあります。
「研修費用の50%を労働者が負担し、6か月勤務すれば全額会社負担にする」というような、最初は半分払ってもらい、1年働いたら、返します!的なものです。
ただ、正直これも、非常に厳しいです。
なぜなら、労働基準法には、「賠償予定の禁止」というのもあります。
賠償予定の禁止とは?
労働契約の不履行による違約金や損害賠償額の予定を禁止しています。
どうゆうことかというと、
「仕事中、何か損害を与えたら、100万円罰金ね!」というのは禁止です。(金額をあらかじめ決めないで、「賠償する」は合法)
この賠償予定の禁止に、上述の研修費用の返金も該当しかねない、ということです。
「何年以内に退職したら、研修費用の一部を返還する」という内容を入れることはできますが、認められるかはまた別の話です。
これが認められるケースとして、
・返金猶予期間が長い
・「その返還義務があるから、会社を辞めたくても辞められない」という強制力を持っていない
・会社の業務に必須スキルではない(必須なものは、会社負担すべき、という考えがあるから)
などでしょうけど、、、、
あまり前例がないようです 泣
結論
これを契約でなんとかするのは厳しいでしょう。
ただ、雇用する際の、就業規則や、労働条件の明示、労働契約書は、どんな小さなサロンでもちゃんと準備しておいてください。
ただでさえ、人材不足の世の中、働く側も、そのあたりはしっかり主張してきます。
良好な関係を築くためにも、事前の説明はちゃんとしておくべきでしょう!